調査と研究
「上総堀り 伝統的井戸掘り工法 民俗文化財伝承・活用事業報告書」を入手しましたが、この中で塩ビパイプを使った井戸掘り道具が紹介されています。
塩ビパイプを使った井戸掘り道具といえば、曽我部式井戸掘り器がパイオニアだと思っていたのですが、どうなっているのでしょうか?
2014年12月3日水曜日ポンプ式井戸掘り器の検討1 |
国立国会図書館サーチで検索すると、曽我部氏の著作の初稿は2003年です。県立上総博物館の報告書は2000年発行です。だとすると報告書の参考資料に記載がないのは納得です。
曽我部氏の著作は、最初に雑誌「現代農業」に掲載されて、後に単行本化されたようですね。
発行年月 | 誌名 | 著者 | 発行元 | 掲載誌、他 |
2003 - 03 |
自分で掘れるぞ!打ち抜き井戸 | 曽我部 正美 | 農山漁村文化協会 | 現代農業 82(3) (通号 677) p.248~254 |
2003 | 手づくり井戸に挑戦! : 自分で掘れる打ち抜き井戸 | 曽我部 正美 | 文葉社 | 初版 |
2005 | 手づくり井戸に挑戦! : 自分で掘れる打ち抜き井戸 | 曽我部 正美 | 文葉社 | 第二版 |
2006 | 手づくり井戸に挑戦! : 自分で掘れる打ち抜き井戸 | 曽我部 正美 | 文葉社 | 第三版 |
2008 | 自分で出来る打ち抜き井戸の掘り方 : あなたは庭木、風呂、トイレ、洗車に殺菌した水道水を使いますか? | 曽我部 正美 | KN企画 | 改定一版 |
2011 | 自分で出来る打ち抜き井戸の掘り方 : あなたは庭木、風呂、トイレ、洗車に殺菌した水道水を使いますか? | 曽我部 正美 | KN企画 | 改定二版 |
では、次に実用新案の出願時期と内容を調べてみましょう。特許庁の特許情報プラットフォームで発明者の氏名で検索できます。
他にも曽我部氏による特許や実用新案の出願がありますが、井戸掘り関係は次の2点です。
文献番号 | 発明の名称 | 筆頭出願人 | 発行日 | 出願番号 | 出願日 | 筆頭IPC |
実登3028383 | 打抜き井戸掘り具 | 曽我部 正美 | 1996年9月3日 | 実願平07-014516 | 1995年12月15日 | E03B 3/08 |
特開2015-010468 | 打ち抜き井戸掘り器 | 曽我部 正美 | 2015年1月19日 | 特願2013-149892 | 2013年6月30日 | E21B 7/00 |
ポンプ式井戸掘り器の実用新案は、実登3028383、出願は1995年です。やはり、ポンプ式井戸掘り器のパイオニアは曽我部氏のようです。
実用新案の内容です。
【要約】 【課題】地下水を積極的に利用し上水道の節約をはかる。 【解決手段】弁7、排水口3、土砂排出口5を備えた円筒体4の接続部2に市販のビニールパイプ1を接続し、水に溶けた土砂が溜った穴に立て、上下動作を繰返すことにより地面に穴をあける。穴の周囲の土砂が崩れるようになれば円筒体4が中に入る大きさの外パイプを差込み土砂崩れを防止する。穴掘り完成後にポンプを接続し揚水する。 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】円筒体(4)に接続部(2)、排水口(3)、土砂排出口(5)、遮蔽板(6)、弁(7)を備えた打抜き井戸掘り具 |
(引用:実用新案ナビ http://j.tokkyoj.com/) |
自作のポンプ式井戸掘り器は、ネットで公開されている井戸掘り先駆者諸氏の情報を元に製作しました。これらによると、排水口(3)と遮蔽板(6)はインクリーザにビニール袋を詰めて、タップビスで固定する方式に進化しているようです。
感想と構想
曽我部氏考案の井戸掘り器を調べてみました。
県立上総博物館の報告書は、曽我部氏の実用新案を知らずに、塩ビパイプ利用の井戸掘り器のコラムを掲載してしまったのですかね?
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