調査と研究
井戸には浅井戸と深井戸があります。浅井戸と深井戸の区別以外に、揚水するポンプにも浅井戸用と深井戸用があります。最初、私自身が混乱したので、私の理解をまとめてみます。
DIYで使う手押しポンプは、基本は浅井戸用です。真空ポンプの一種ですから、真空部分が吸い上げる力の及ぶ範囲しか、揚水できません。原理的には最大深度10m、実用的には深度7〜8mまでが限界だとされています。最初は浅井戸ポンプを設置している井戸が浅井戸だと理解していました。揚水ポンプの説明を読んでも、深度10m以上の井戸には深井戸ポンプを使えと書いてあるしね。
しかし、ブログとかを読むと、深井戸は一般に深度30m以上らしい。
あれ?
・では10m〜30mの間の深さの井戸は、浅井戸なの?深井戸なの?
・深さ30mで水位が1mの井戸は浅井戸なの?深井戸なの?
・いやいや、上総掘りの様に数百mを掘り下げてる自噴井戸はどうなる?
結論から書くと、ポンプ屋と井戸屋で浅井戸と深井戸の定義が違うのです。ポンプ屋にとって浅井戸ポンプで揚水できれば「浅井戸」、揚水面が深度10m以深で浅井戸ポンプが使えなければ、「深井戸」です。井戸の深さではなく、水面の高さが問題なのです。
では、「深さ30mで水位が1mの井戸」はどうなる? これは、ポンプ屋にとっては、浅井戸ポンプで揚水できる井戸でしかないのです。
ては、自噴井戸は? 自噴している井戸にポンプは必要ないので、ポンプ屋にとっては範疇外ですね。
一方、井戸屋にとって大事なのは、揚水する対象が、不圧層の自由水なのか、被圧層の被圧水なのかです。これは、自由水に比較して被圧水の水質が良好なことと、水量が安定しているためです。つまり、水の価値が高いのです。
2015年4月13日月曜日 | |
帯水層と不透水層というものがあってだな |
浅井戸は不圧層の自由水、深井戸は被圧層の被圧水です。被圧水は土圧を受けており、井戸穴が達すると、湧水位置より上へ上昇します。土圧が高い場合は地上部まで地下水が上昇し、自噴井戸となります。 一般に深井戸は深度30m前後とされていますが、鑿井業者のサイトを見ると、深度20m以上を深井戸としている業者もあります。これは、単に深度だけではなく、被圧水か否かで深井戸を判断している訳です。
私が疑問に思った井戸の深さを図にしてみました。ここまでお読みの皆さんなら浅井戸・深井戸の区別が付きますね?
はい、左から、浅井戸→深井戸→深井戸です。ポンプの型で決まるモノではないのです。大事なのは湧水層が被圧されているか、否かです。逆に言うと、深度30mの井戸を掘削しても、湧水が不圧層の自由水ならそれは浅井戸です。
浅井戸と深井戸の比較 |
一点、ご注意!! 手押しポンプを「基本は浅井戸用」と前述しましたが、深井戸用の手押しポンプもあります。例えばピストンを揚水管の中に収めて、人力で水を持ち上げるタイプ等があります。
浅井戸の深度は物理原則で決まります。では深井戸の定義は何でしょうか?
先に述べた様に定義はありません。
一応、公的な定義としては、国土交通省の地下水(深井戸)資料台帳で、深井戸を「概ね30m以深」としています。
国土調査(土地分類基本調査・水基本調査等)ホームページ
水基本調査(地下水調査)
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