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投稿日 2016年4月9日土曜日

祝、深度36メートル突破

本日の記録


作業時間 9:00〜19:00
掘削記録 45cm(深度3,630cm)  45cmは下穴です
開始水位 550cm(水深3,035cm)

昨日までの雨があがり、本日は晴れで暖かくなりました。爽やかな麗らかな春の一日でした。

本日の目標は、4/2に穿った下穴45cmの拡張です。径75mmオーガを井戸底に降ろして作業を進めますが、直ぐに噛んでしまいました。堀クズの砂利が邪魔をしているようです。
径75mmオーガを引き上げて、砂回収器:スクリュードライバー2号(SD2)で土砂を浚います。なんだか調子良くハンドルを回している内に、いつの間にか下穴を全て掘り下げていました。


道具と材料


・オーガ本体+延長パイプ×19+90cm短尺パイプ+45cm短尺パイプ=3,645cm
・突き棒2号+塩ビHIVP25×200×17=3,570cm
・砂回収器:スクリュードライバー2号(SD2)


掘削の状況


砂回収器:スクリュードライバー2号(SD2)で土砂を浚います。ここ2~3日雨が続きましたが、雨曝しのSD2は赤錆が浮いています。当地は海に近いので、鉄物は直ぐに錆びてしまうんですよね。
SD2を井戸底に降ろしたところ、19本目の180c​m定尺パイプに45cm短尺パイプを挿げ足して​、ハンドル高さは120cmぐらいでした。ハンドル高さを測定する前に、引上げ用のトラックロープを始末していると、スコンと40cmほどSD2が落下しました。ハンドル高さを測定すると高さ78​cmになりました。

SD2を井戸底に押し込みます。ハンドルを回すと一捻りでハンドル高さ60cmまで下りました。この部分の土層の締まりは緩いです。ここでSD2が突っ掛かりました。石のようです。

SD2のハンドル高さ60cmは、径50mmオーガで穿った下穴の開始位置です。本来なら径75mmオーガにチェンジして、井戸穴を拡張するのですが、突っ掛かったのが大きな石だとすると、径75mmオーガでは歯が立ちません。径75mmオーガを降ろす前に、除去しておいた方が得策です。

吊下落下作戦で石を突破します。

砂回収器:スクリュードライバー2号(SD2)で
掘りクズを浚います、
雨曝しのため赤錆が出ています
SD2が着底しました​、
19本目の180c​m定尺パイプに
45cm短尺パイプを挿げ足して​、
ハンドル高さは78​cmです
SD2がハンドル高さ60cmまで下った所で
石に突っ掛かりました

SD2を複合滑車(ダブルタイフーン)で引上げて、ロープを固定します。このままでハンドルを回して、井戸底の突っ掛かる石をSD2の内部に誘導します。ロープを徐々に緩めると、突っ掛かった石の感触が無くなりました。成功です。

更にSD2を井戸底に押し込みます。SD2のハンドル高さは50cmになりました。

吊下回転作戦で石を突破して
、SD2がハンドル高さ50cmまで下りました

浚い残しの土砂を掃除します。
いったんSD2をダブルタイフーンで引上げると、SD2が噛んでしまいました。SD2の後部から零れた砂利が噛んだのでしょうか? 掘りクズは高さ30cm分しか取り込んでいません。まだ余裕があるはずです。変です。幸い噛みは軽く、ハンドルを回すと脱出できました。

ロープを緩めると、SD2のハンドル高さは65cmになりました。15cm分の浚い残しがあります。これも始末しましょう。
SD2を更に井戸底に押し込むと、ハンドル高さは45cmになりました。これで、掘りクズの始末ができました。下穴も高さ15cm分を拡張しています。

SD2を滑車で引上げて離すと、
ハンドル高さ65cmになりました、
15cm分の浚い残しがあります
SD2を更に井戸底に押し込み、
ハンドル高さは45cmになりました

SD2を引上げました、SD2の中身は3cm​程下です。先ほど引上げ時に噛んだ理由が判りました。上部から石が落下して、ツル部で噛んだようです。落下した石が見えます。
SD2から排出した土砂は粘土分が多いです。

SD2を引上げました、
SD2の中身は3cm​程下です、
引上げ時に噛んだ石が見えます
SD2から土砂を排出​しました、
粘土分が多いです

掘り揚げた土砂を笊で篩い分けました。土砂の粘土は土嚢袋で水と一緒に濾過して分離しています。
砂利と大き目の石が2つ揚がりました。上部から落下した石と、井戸底で噛んだ石です。

掘り揚げた土砂の粘土水を
土嚢袋で濾過しています
SD2で浚い揚げた土​砂です、大きい目の石が2個揚がりました
左の石が引上げ時に噛んだもので
サイズは5.5×3.5×3cm、
右は井戸底で突っ掛かったもの
で5.5×3.5×1.5cmです

掘りクズの始末が終わりました。下穴を径75mmオーガで拡張します。
径75mmオーガを井戸底に降ろすと、19本目の180c​m定尺パイプに90cm短尺パイプと45cm短尺パイプを挿げ足して​、ハンドル高さは95​cmです。

径50mmオーガの下穴はハンドル高さ85cmから40cmまでの45cm分です。掘りクズは15cm溜まっています。でも、先ほどSD2で15cm余計に掘り下げているので、掘りクズの厚さは30cm分です。下穴は実質高さ30cmまでしかありません。現場で暗算をやってますが、計算はここまでにして、井戸穴を拡張しましょう。

径75mmオーガを井戸底に捩じ込みます。
掘りクズ部分でも砂利が多いようで、掘り下げは結構きついです。ハンドル高さ70cm位置からが井戸穴の拡張です。
ハンドルを回すと突っ掛かる部分があります。井戸壁から石が飛び出ているようです。ダブルタイフーンでいったん径75mmオーガを引き上げ、吊下回転作戦を試みます。
径75mmオーガは下がっていきますが、突っ掛かりは無くなりません。ハンドル高さ62cmで完全に噛んでしまいました。これ以上は無理です。径75mmオーガで高さ10cm分ほどしか拡張できていません。ぐぬぬ!

径75mmオーガで下穴を拡張します
径75mmオーガが着底しました、
19本目の180c​m定尺パイプに90cm短尺パイプと
45cm短尺パイプを挿げ足して​、
ハンドル高さは95​cmです
径75mmオーガがハンドル高さ62cmまで
下りました、
井戸壁の石が邪魔をして回転しません

もう一度、ダブルタイフーンで径75mmオーガをハンドルが回転できる高さ77cmまで引き上げて、吊下回転作戦を試みます。しかし、2cm下ってまた突っ掛かりました。径75mmオーガは下りません。先ほどより悪化しました。ぐぬぬ!!

径75mmオーガをハンドル高さ77cmまで引き上げ、
吊下回転作戦を試みますが、
2cm下ってまた突っ掛かりました

もう一度、ダブルタイフーンで径75mmオーガをハンドルが回転できる高さ99cmまで引き上げて、吊下回転作戦を試みます。最初は順調でしたが、ハンドル高さ75cmでまた突っ掛かりました。先ほどより更に悪化しました。ぐぬぬ!!!

掘りクズの砂利が噛んで邪魔をしているようです。掘りクズを始末しないことには進みません。

径75mmオーガをハンドル高さ99cmまで
再度引き上げ、吊下回転作戦を試みます
径75mmオーガがハンドル高さ75cmで突っ掛かり、
どうしても下りません

SD​2で径75mmオーガを邪魔している砂利を浚います。
SD2を井戸底に降ろすと、19本目の180c​m定尺パイプに90cm短尺パイプを挿げ足して​、ハンドル高さは101cmです。先ほどハンドル高さ45cmまでSD2で掘り下げ、持ち手パイプを45cm延長しています。掘りクズの高さは10cmほどです。ヤマ(井戸壁の崩落)は起きていません。

SD2を井戸底に押し込みます。径75mmオーガで苦労した掘りクズ部分の砂利は感じません。
昼食を挟んで、SD2のハンドルが高さ80cmまで下りました。径75mmオーガが井戸壁の石で弾かれた位置です。しかしSD2では井戸壁の石は感じません。

その内、ハンドルが粘り出しました。やはり砂利は感じません。粘土層に突入したのでしょうか?
ハンドルが粘って重いのですが、チョイ上げ作戦で掘り進められます。
SD2がハンドル高さ60cmまで下がりました。調子に乗って径75mmで拡張すべき位置まで掘り下げてしまいました。

ここから下は下穴なしです。SD2でこのまま掘り下げられそうな感じです。でも無理をすると、スイコのゴム弁を傷める可能性があります。ここまでにしておきます。

SD​2で径75mmオーガを邪魔している砂利を浚います
SD2が着底しました​、
19本目の180c​m定尺パイプに
90cm短尺パイプを挿げ足して​、
ハンドル高さは101cmです
SD2がハンドル高さ60cmまで下がりました、
調子に乗って径75mmで拡張すべき
位置まで掘り下げてしまいました

SD2を引上げ始めたら、ハンドル高さ126cmで噛んでしまいました。やはり掘り下げ過ぎで、SD2の後部から零れた砂利が噛んだようです。幸い症状は軽くて済みました。ハンドルを回転させて、噛んだ砂利を解したら、引上げに成功しました。

SD2を引上げたら、
ハンドル高さ126cmで噛んでしまいました、
幸い症状は軽くて済みました

SD2を引上げました。
SD2の中身は溢れていました、やはり掘り下げ過ぎです。

SD2を引上げました、
SD2の中身は溢れていました、やり過ぎです

SD2で浚い揚げた土砂を笊で篩い分けました。砂利がたくさん揚がりました。こいつらが径75mmオーガの邪魔をしていた訳です。
スイコのゴム弁を確認しました。土砂の掘り下げで抵抗が掛かったようで、やはりゴム板が引き伸ばされています。

SD2で浚い揚げた土​砂です、砂利がたくさん揚りました
SD2のスイコのゴム板が、引き伸ばされています

下穴の拡張と掘りクズ浚いが一度で終わりました。今後の粘土質砂層を打ち抜く、作業効率化のヒントです。

新たに下穴を穿ちます。径50mmオーガが大破しているため、砂利突破器の径25mmオーガを使ってみます。ブレードが無いので、砂層では非力な砂利突破器ですが、粘土混じり砂層ではどうでしょうか?

径50mmオーガが大破しているため、
砂利突破器の径25mmオーガで下穴を穿ちます

径25mmオーガを降ろす途中で、保持ロープがいつの間にか擦り切れているのに気が付きました。3本撚りのロープの内、2本が完全に切れて、残り1本も半分ほどしか残っていません。危ない所でした。
保持ロープは交換しました。

径25mmオーガを降ろす途中で、
保持ロープが擦り切れているのに
気が付きました
持ち手パイプの保持ロープを交換しました

径25mmオーガを井戸底に降ろすと、20本目の180cm定尺パイプを挿げて、ハンドル高さは92cmです。定尺パイプのストックがゼロになりました。
掘りクズは7cmほどしか溜まっていません。径25mmオーガは細いので、掘りクズが残っていても、突き刺さってしまうはずです。本当の掘りクズの厚さはわかりません。でも、引っ掛かりが無いので、掘りクズが多少あっても、引き抜く障害にはならないでしょう。(この予想は裏切られました)

径25mmオーガを井戸底に捩じ込みます。
掘りクズ部分は直ぐに下りましたが、やはり、非力です。新たな下穴掘削位置の、ハンドル高さ85cmを過ぎると、ハンドルをグリグリ回しても、全然下りません。トホホ。
10分頑張っても2~3cmしかハンドルが下りません。砂利は感じません。

グリグリ、グリグリ、グリグリ、・・・。単調な作業で頭がパーになりそうです。

2時間後、ハンドル高さ57cmで砂利と衝突しました。これは軽く突破。そして、ハンドル高さ54cmで径25mmオーガが噛んでしまいました。フルパワーを掛けても突破できません。砂利突破器が噛むとは強敵です。
ダブルタイフーンで径25mmオーガを引き上げ、吊下回転作戦で突破します。

径25mmオーガが着底しました、
20本目の180cm定尺パイプを挿げて、
ハンドル高さは92cmです
径25mmオーガがハンドル高さ54cmで
噛んでしまいました、
吊下回転作戦で突破します、
砂利突破器が噛むとは強敵です

径25mmオーガがハンドル高さ50cmまで下ると、土層の締まりが緩くなりました。砂利は感じません。掘削スピードが上がります。ハンドル高さ44cmで一瞬、砂利の感触がありましたが突破できました。そして50分後、径25mmオーガがハンドル高さ40cmまで下りました。

深度36mを通過して、深度36.3m位置に到達です。高さ45cm分を掘り下げるのに、2時間50分掛かりました。チカレタビー。(古)

径25mmオーガがハンドル高さ40cmまで
下りました

径25mmオーガをダブルタイフーンで引上げたら、ハンドル高さ50cmで噛んでしまいました。
掘り下げ時にハンドル高さ54cmで突っ掛かった砂利に、引っ掛かったのでしょうか?

径25mmオーガはシャフトに番線を螺旋状に巻き付けてあるだけで、ブレードはありません。砂利が噛んでもあまり影響はないはず。確かに引上げ時に噛んでも、ハンドルを回せば簡単に噛みが緩みます。これで、ダブルタイフーンでエイヤッと引上げれば…。1cm程度しか上がりません。また噛みました。なんでやねん。

ハンドルを回して噛みを緩めて、ダブルターフーンで引上げる。この繰り返しです。
ハンドル高さ92cmから径25mmオーガで掘り下げ始めましたが、この位置まで引上げても、まだ抜けません。それでも一度に引上げられる高さが2~3cmに増えました。

径25mmオーガを引上げたら、
ハンドル高さ50cmで噛んでしまいました、
掘り下げ時の砂利に引っ掛かったのでしょうか

細い径25mmオーガが、径75mmまで拡張した井戸穴の中で噛む理由が想像できません。掘りクズの中に大き目の石が転がり落ちているのでしょうか?
径25mmオーガがハンドル高さ180cmに上がっても、まだ引き抜けません。ハンドルがヤグラの横通しにぶつかりそうです。限界近し!!

ここで、ダブルタイフーンのロープをいったん緩めて、オーガを煽るようにロープを上げ下げします。これで噛み合った砂利が解れるはず。そして、ハンドル高さが190cmまで上がると、径25mmオーガが引き抜けました。引き抜きには30分掛かりました。

径25mmオーガをハンドル高さ190cmまで
引き上げて、
やっと引き抜くことができました


感想と構想


下穴だけですが、深度36mを突破しました。これで海抜0m到達!!と思いましたが、柱状図を見直したら、井戸掘り現場は標高36.5mでした。後、20cm掘り下げないと…。


作業終了後に井戸穴を覗いてみました。写真では良く判りませんが、深度2m位置の井戸壁に太さ5cmほどの何かがあります。木の根か石のようです。井戸穴拡張時に邪魔になりそうです。

井戸穴は南南東−北北西方向に楕円形になっています。ヤグラを立てるときに、誤って井戸穴の外側に配置したためです。滑車で持ち手パイプを吊り下げると、ヤグラ側=南南東方向に引っ張られます。これで井戸壁が削れているのです。

井戸穴を撮影しました、
写真では良く判りませんが深度2m位置の
井戸壁に太さ5cmほどの何かがあります

井戸穴が片減りしてるのは、本当なら大問題なのですが…。井戸の掘り始めに気が付かずに、斜めに掘り進めていました。写真で言うと手前に若干倒れ込んでいます。
このため、奥側の壁が削れていくのは、斜めになった井戸穴が矯正されるので良しとします。


アルバム


2016年4月9日


投稿日 2016年4月8日金曜日

大坂掘りの資料も見つかりました

調査と研究


上総掘りを調べていて、その源流である大坂掘りにも興味が湧きました。高度にシステム化された上総掘りより、大阪掘りの方がDIYに適しているかもと思ったからです。
ネット検索で、この大坂掘りに関する資料も一部見つけました。こちらも紹介しておきます。

歌川国芳 「東都 三ツ又の図」

ちょっと前に「浮世絵にスカイツリー?」がニュースになりましたが、この歌川国芳の浮世絵の論考もあります。浮世絵に描かれた塔は、大坂掘りのヤグラだそうです。





「上総掘り前史・大坂掘り三百年(1) 」、能城 秀喜、帝京平成大学紀要 第21巻 第2号、2010年3月
ネット検索して、本資料の存在を知りましたが、この1巻が見つかりません。
帝京平成大学の紀要は、帝京平成大学図書館のWebOPACで公開されているのですが、22巻以降からしかありません。CiNiiにもオープンアクセスで収蔵されていますが、15巻までしかありません。欠巻もネットで公開していただきたいものです。



「上総掘り前史・大坂掘り三百年(2) 」、能城 秀喜、帝京平成大学紀要 第22巻 第2号、2011年3月
前資料に続く2巻です。著者は袖ケ浦市郷土博物館の帝京平成大学上総掘りプロジェクト共同研究者の方です。
江戸時代の江戸市中、大垣、大阪各地の、掘抜井戸に関する論考です。図表、写真が豊富で読み応えがあります。
本資料は帝京平成大学図書館のWebOPACで公開されています。


「上総掘り前史・大坂掘り三百年(3) 」、能城 秀喜、帝京平成大学紀要 第23巻 第2号、2012年3月
前資料に続く3巻です。江戸時代の大坂掘りについて、文書、絵画等の史料を元にした変遷の論考です。
本資料は帝京平成大学図書館のWebOPACで公開されています。



「上総掘り前史・大坂掘り三百年(4) 」、能城 秀喜、帝京平成大学紀要 第24巻 第2号、2013年3月
前資料に続く4巻です。3巻に続き長野県、高知県等の大坂掘りの論考です。発表されている最終巻ですが、論文としては未完のようです。
本資料は帝京平成大学図書館のWebOPACで公開されています。

著者は袖ケ浦市郷土博物館の研究員で、上総掘り技術伝承会のメンバーです。博物館の副主幹を務めた後、現在は袖ケ浦市平川公民館の主幹になられています。公職としては歴史研究から離れたようです。


感想と構想


大坂掘りの具体的な掘り方は、入手できていない1巻に記載されているようです。資料が入手できず、欲求不満です。

「上総掘り前史・大坂掘り三百年 」を読んで、「揉抜井戸」なるものの存在を知りました。
こちらも調べてみます。


曽我部式井戸掘り器の実用新案

調査と研究


「上総堀り 伝統的井戸掘り工法 民俗文化財伝承・活用事業報告書」を入手しましたが、この中で塩ビパイプを使った井戸掘り道具が紹介されています。
塩ビパイプを使った井戸掘り道具といえば、曽我部式井戸掘り器がパイオニアだと思っていたのですが、どうなっているのでしょうか?

2014年12月3日水曜日


ポンプ式井戸掘り器の検討1




国立国会図書館サーチで検索すると、曽我部氏の著作の初稿は2003年です。県立上総博物館の報告書は2000年発行です。だとすると報告書の参考資料に記載がないのは納得です。
曽我部氏の著作は、最初に雑誌「現代農業」に掲載されて、後に単行本化されたようですね。

発行年月誌名著者発行元掲載誌、他
2003
-
03
自分で掘れるぞ!打ち抜き井戸 曽我部 正美 農山漁村文化協会 現代農業  82(3) (通号 677)  p.248~254
2003 手づくり井戸に挑戦! : 自分で掘れる打ち抜き井戸 曽我部 正美 文葉社 初版
2005手づくり井戸に挑戦! : 自分で掘れる打ち抜き井戸 曽我部 正美 文葉社 第二版
2006 手づくり井戸に挑戦! : 自分で掘れる打ち抜き井戸 曽我部 正美 文葉社 第三版
2008 自分で出来る打ち抜き井戸の掘り方 : あなたは庭木、風呂、トイレ、洗車に殺菌した水道水を使いますか? 曽我部 正美 KN企画 改定一版
2011 自分で出来る打ち抜き井戸の掘り方 : あなたは庭木、風呂、トイレ、洗車に殺菌した水道水を使いますか? 曽我部 正美 KN企画 改定二版


では、次に実用新案の出願時期と内容を調べてみましょう。特許庁の特許情報プラットフォームで発明者の氏名で検索できます。
他にも曽我部氏による特許や実用新案の出願がありますが、井戸掘り関係は次の2点です。

文献番号発明の名称筆頭出願人発行日出願番号出願日筆頭IPC
実登3028383打抜き井戸掘り具曽我部 正美1996年9月3日実願平07-0145161995年12月15日E03B 3/08
特開2015-010468打ち抜き井戸掘り器曽我部 正美2015年1月19日特願2013-1498922013年6月30日E21B 7/00

ポンプ式井戸掘り器の実用新案は、実登3028383、出願は1995年です。やはり、ポンプ式井戸掘り器のパイオニアは曽我部氏のようです。

実用新案の内容です。

【要約】
【課題】地下水を積極的に利用し上水道の節約をはかる。
【解決手段】弁7、排水口3、土砂排出口5を備えた円筒体4の接続部2に市販のビニールパイプ1を接続し、水に溶けた土砂が溜った穴に立て、上下動作を繰返すことにより地面に穴をあける。穴の周囲の土砂が崩れるようになれば円筒体4が中に入る大きさの外パイプを差込み土砂崩れを防止する。穴掘り完成後にポンプを接続し揚水する。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】円筒体(4)に接続部(2)、排水口(3)、土砂排出口(5)、遮蔽板(6)、弁(7)を備えた打抜き井戸掘り具

(引用:実用新案ナビ http://j.tokkyoj.com/

井戸掘りを始めて1年以上になります。お恥ずかしながら、曽我部氏の著作はまだ読んでいません。どんだけー!!
自作のポンプ式井戸掘り器は、ネットで公開されている井戸掘り先駆者諸氏の情報を元に製作しました。これらによると、排水口(3)と遮蔽板(6)はインクリーザにビニール袋を詰めて、タップビスで固定する方式に進化しているようです。


感想と構想


曽我部氏考案の井戸掘り器を調べてみました。
県立上総博物館の報告書は、曽我部氏の実用新案を知らずに、塩ビパイプ利用の井戸掘り器のコラムを掲載してしまったのですかね?

上総堀りのバイブルを入手しました

調査と研究


昨年5月から探していた、上総掘りの資料をネット古書店でGetしました。

2015年5月16日土曜日
上総掘り、資料探索中


今は無き、千葉県立上総博物館(2008年3月31日閉館)から2000年に発行された報告書です。10年以上前の発行なのと、発行部数自体も少ないようで、入手には苦労しました。古書市場には中々出回っていません。PDF化してネット公開すれば、世の中の役に立つと思うのですが…。





「上総堀り 伝統的井戸掘り工法 民俗文化財伝承・活用事業報告書」、千葉県立上総博物館友の会、千葉県教育委員会、2000年
今回、ネット古書店で購入した資料です。
千葉県で上総掘りの技術伝承を行っている団体の活動を元に、千葉県立上総博物館が発行したものです。

昨夜届いたばかりですが、一通り読みました。一度では消化できません。これから何度も読み込むことになりそうです。
井戸掘りは深度30mを超えて、重量や土質の変化等に苦労しています。上総掘りから、これを突破するアイデアを得られるかもしれません。

【引用:上総掘り工法の特徴、p17】

ここで上総掘り工法の特徴を取り上げ、それぞれの果たす役割について説明したい。しかし、ここで紹介する例は、上総掘りの技術を高度に発展せしめた職人としての技法を伝えるものである。この工夫の基本は、①コシタ(吸入弁)を装着したホリテッカン②竹ヒゴ③ネバミズの利用にあるといってよい。


ネバミズ(粘土水)ね、なるほど。
「砂地・砂利層の掘削には欠かせない」ともあります。


感想と構想


報告書の中に、「挑戦しよう上総掘り」というコラムがあり、塩ビパイプを使ったコシキの作り方が紹介されています。つまり曽我部式井戸掘り器です。

あれ? 曽我部式井戸掘り器は実用新案を登録しているって話じゃなかったっけ?
報告書の参考資料には、曽我部氏の著作は入っていません。ちょっと調べてみますか。


投稿日 2016年4月4日月曜日

径50mmオーガが逝きました

道具の検討


一昨日(4/2)、径50mmオーガで下穴を穿ちましたが、道具を引き上げると大噛みしました。複合滑車(ダブルタイフーン)を使って何とか引き上げましたが、径50mmオーガは大破していました。

最後部のブレードが、一周分引き千切れていました。掘りクズの砂利が楔状に噛んでいる状態で、ダブルタイフーンで無理やり引き上げたためでしょう。溶接が甘かったのも原因の1つです。

径50mmオーガのブレード一周分が引き千切れています
(撮影:2016/4/2)
引き千切れたブレードの近影です
(撮影:2016/4/2)

昨日(4/3)、土砂浚いの合間に、ねじ曲がったブレードだけ矯正してみました。
トーチでブレードの鉄材を炙って、焼きなましました。鉄材が赤い内に、ロッキングプライヤーとパイププライヤーを駆使して引き伸ばしました。

何とか矯正しましたが、完全に二つ折りされたブレードを引き伸ばしたら、金属疲労で破断しそうになっています。金属疲労の箇所をいったん溶接して、騙し騙しやらないと修理は無理ですね。

径50mmオーガのブレードをトーチで炙って、
レンチで修繕しました
(撮影:2016/4/3)


感想と構想


写真を見て気が付きましたが、シャフト自体も曲がっているようです。
こりゃ、修理に時間が掛かりそうです。

買い直しした方が、良いかもしれません。

スパイラルボーラー オーガ 50mm
https://www.amazon.co.jp
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