本日の記録
本日、午前中は雨でした。霧雨なので無理をすれば、井戸掘り可能ですが…。全身、筋肉痛で動けません。目も回るし、身体を休めるには、ちょうど良かった。
午後になって、雨が止みました。しかし、復調しません。えい、こうゆう日もあるわな。今日は井戸掘りは休みましょう。持ち手パイプの加工など、やらなければいけない準備作業もあります。
でもダメだー。身体が動きません。> <
昨日、径75mmオーガで、砂利層を打ち抜いたのが効いています。おとなしく、本でも読んでいましょう。
【後記】
翌日、月曜日で出勤ですが、発熱と喉の痛みが…。体調不良は風邪でしたわ。
家族に季節外れの罹患者が二人いましたので、うつされたようです。
井戸の研究
昨年購入して、積んでおいた井戸掘りの資料を読みました。
◆『地下水と地形の科学 水文学入門』、榧根 勇、講談社、2013年2月
『地下水と地形の科学 水文学入門』、 榧根 勇、講談社、2013年2月 |
購入したのは昨年の5月です。11ケ月ほど寝かしてありました。かなり、熟成したはずです。(笑)
2015年5月28日木曜日 | |
井戸の掘り方以外も勉強しないと… |
水文学は「みずぶんがく」ではなく、「すいもんがく」です。天文学、地文学、等と同じです。この本の中で先ずご紹介したいのは、以下の記事です。ちょっと長いですが、引用します。
えっ!! どういう事?
引用:『地下水と地形の科学 水文学入門』、p82 |
地下水は圧力変化に反応するが'地下水を動かしている力は圧力ではない。地下水の運動の原理を理解するには、まず地下水ポテンシャルの概念を理解しなければならない。 (中略) アメリカのヒューバートが、地下水ポテンシャル(彼は流体ポテンシャルと呼んだ)に関する一八四ページもの長い論文を発表したのは、一九四〇年のことであった。この論文は一九六九年に、彼のその他の論文と一緒に単行本として出版されたが、その本の「まえがき」で彼はこう述べている。 著名な地下水の教科書には、一般に地下水は動いており、帯水層中の圧力は運動の方向に減少する、と書かれているが、これは間違いである。 彼の論文が発表された一九四〇年当時、アメリカでは水文地質の研究が地下水研究の主流で、物理的な考察はまだ不十分であり、最も権威ある地下水の教科書にもそのように書かれていた。しかし、よく考えてみれば簡単にわかることだが、地下水が涵養される地域では、地下水圧は深さとともに増加するのに、地下水は圧力の高い下方へ向かって動く。水平に施設された水道管の中の水は、水圧の高いところから低いところへ流れるが、給水塔からその水道管へ流れる水は、水圧に逆らって流れるのと同様である。条件次第で、地下水は水圧の高い方向へも、低い方向へも、動くことができる。 ダルシーはカラム実験を行い、その結果を整理して、地下水の流れがオームの法則と同じ数式で表現できることを明らかにした。それによって、地下水も電流と同じように、ポテンシャルに支配された「ポテンシャル流れ」であることが明らかになった。 ヒューバートは地下水を動かしているポテンシャルについて、理論的に、つまり純粋に頭の中だけで考えた。彼はそれまで地下水の研究をしたことはなかったが、物理学は知っていた。質量保存の法則と熱力学の法則だけがたよりだった。そして、地中の流体(地下水・石油・ガスなど)の運動を支配しているポテンシャルを、次のように定義した。 「与えられた位置に、与えられた状態で存在する水のポテンシャルは、単位質量の水をある任意の標準状態から、その与えられた状態にまで変化させるのに必要な仕事量に等しい」
今では、この論文は地下水学の最も重要な文献の一つになっている。 地下水は、このように定義されたポテンシャルの高い所から低い所へと流れる。地下水の存在状態は、速度・密度・圧力・高度の四つの物理量で表すことができる。このうち速度の影響は、地下水の流速が非常に遅いので、無視できるほど小さいことがわかっているので、考えなくてもいい。いま、AとBの二つの状態の地下水を考え、Aでは密度一・圧力一・高度一、Bでは密度二・圧力二・高度二であるとする。Aの状態にある水を、Bの状態に変える(つまり一の状態を二の状態に変える)ためには、仕事をしなくてはならない。その仕事に費やしたエネルギーが、Aの状態の水とBの状態の水のポテンシャルの差になる。以上の説明を数式で表すと、最終的に地下水ポテンシャルは前ページの上のように書ける。 この地下水ポテンシャルは、ピエゾメータで簡単に測定することができる。ピエゾメータの構造は上総掘りと同じで、水を取り入れる「かごめ」に当たる部分(スクリーンという)が一カ所しかない井戸をいう(ただし一般にピエゾメータの直径は井戸の管径よりも小さい)。ピエゾメータの中に現れた地下水位の、基準面から測った高さが、地下水ポテンシャルである。また、圧力ポテンシャルはスクリーンから地下水位までの高さ、重力ポテンシャル(位置ポテンシャルともいう)は基準面からスクリンでの高さである。普通、基準面には海面を用いるので、その場合の地下水ポテンシャルは、ピエゾメータの中の地下水の標高水位に等しいことになる。地下水ポテンシャルをこのように長さの次元で表したとき、それを水理水頭ともいう。水頭はheadの訳語である。 (中略) 先に述べたように、市原市では、同じ場所で、ある深さにスクリーンを設けた自噴井は自噴を停止したのに、その上下の帯水層から取水する自噴井は自噴を続けていたという事実が確認されている。このように、特定の帯水層から大量の揚水が行われていたり、揚水がなくとも地層の層厚が厚い場合には、地下水ポテンシャルは同一地点でも深さによって異なる。地下水ポテンシャルに鉛直方向の差があると、水平面を横切る方向の地下水の流れが生じる。地下水が自噴するのは、その場所における地下水ポテンシャルが、深い地層におけるほど高く、スクリーンの位置における地下水の水頭が地表面の標高よりも高いからである。
引用:『地下水と地形の科学 水文学入門』、p81-86
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上総地方の上総掘りによる自噴井戸は、単斜構造の上総層群の地質構造により自噴が起きます。一方、地下水ポテンシャルは、地質構造以外にも地形によって、自噴が起こることの説明です。
圧力水頭は密閉したケーシングの中で測定できます。現在掘っている現場の井戸は、ケーシングを入れていません。例えば、井戸底から湧水により井戸水が浸入しても、途中の透水率の高い地層に流出していたりしたら、正しい圧力水頭は判りません。水理的短回路ってやつです。つまり地下水流がショートしているってこと。
ケーシングを入れれば、自噴したりして…。
感想と構想
本書は砂丘の地下水による砂丘湖の生成など、興味ある話題が満載です。ちょっと学問的で難しいですが、各エピソードが短いので、読み易い本です。水文学に興味が出てまいりました。
今回紹介した地下水ポテンシャルは、「ヒューバートのモデル」といわれる概念です。では、ヒューバートさんって何者? 地下水学を学ぶ人には常識なのかもしれませんが、儂は初見です。ネット検索しましたが、難航しました。そもそも、この本の参考文献には、ヒューバートさんの資料は記載がありません。ヒントはラストネームと、1940年の論文、1969年の単行本のキーワードしかありません。
ネット検索能力をフルパワーで発揮しました。
論文を見つけました。「The theory of ground-water motion」、M. King Hubbert
これでファースト&ミドルネームが判りました。Wikipedia日本版に記事はありませんが、英語版にM. King Hubbertの記事がありました。関連情報を追い掛けると、有名な話を見つけました。こちらも、ヒューバートさんの提唱した概念です。「石油ピーク」
ヒューバートさんはアメリカの地質学の歴史の中でも第一人者です。そして、ハンマーの代わりに数学を使った初めての地質学者と言われたそうです。アメリカでは地質モデルの創始者的な存在と見られており、石油貯留岩研究に関する先駆者でもあります。シェールオイルですね。
【2015/5/3】
投稿内容とタイトルがアンマッチなので見直しました。
旧タイトル:体調不良で本日休業
【2015/5/3】
投稿内容とタイトルがアンマッチなので見直しました。
旧タイトル:体調不良で本日休業
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